良品探訪の旅

南アルプスの天然石 
2009.06.27

甲州は南アルプス市に行ってまいりました。今でも武田信玄が力を入れた治水事業「信玄堤」が残る地域です。 この地域では宝飾や紙職人、そして印章職人がたくさん今でも活躍しています。 武田の勇壮なる大軍団を支えたのは金山で、鉱物を採掘しそして高い精製技術が古来からありました。 短絡的かもしれませんが、その流れをくむためなのでしょうか、多くの職人が今でも頑張っている土地です。 昭和天皇や毛沢東の印鑑を仕上げた高名な職人の技術を継承する方たちがいると聞き、どうしてもお会いしたかったのでした。 貴石という宝石の塊に名前を彫る「貴石印」という贅をつくした印鑑があります。 その製造工程の全てを見学させていただき、多くの貴石印の原石に触れさせていただきました。 職人さんの作業の流れの美しさや技に感動し、そして宝石と言ってよい貴石印材について勉強してまいりました。 写真のブルーの印材はラピスラズリというアフガニスタンやカナダで採れる石で、ブラウンはアフリカで採掘される虎目石です。 原石は地層の紋様が全て異なるので、当然ですが世界に一個しかない材料となります。 石の材料を木や角や牙の材料のように印刀で精巧に彫ることはできないので、砂鉄と空気圧で仕上げる独特の製法ですが、 下書きとなる字入れは、フリーハンドで筆を用いて書き入れます。 印影イメージ図は職人さんの頭の中にあり、体中から気がみなぎる儀式にも似た美しい工程が印象的です。 この逸品を自分でも所有してみたいと誰しもその場にいたら思うはずです。 石の持つパワーやうんちくを述べると大変な字数となるので、後日特集を組みたいと思います。