イタリア人の明るさはあきらめ感の裏返しとおっしゃる方がいるように、イタリアは典型的な階級社会であり、
職人の子は親の家業を8割くらいの確率で継承すると聞きます。
よってタンナーやそれを使った靴職人や鞄職人は親から子へと継がれ、素材や品質の高さの理由のひとつとなっており、
そんな環境がグッチやフェラガモの夢を形にしました。Pineider(ピネイダー)はフィレンツェにて1774年〜紙製品で成功し文具全般を手掛けていき、
多くの貴族らを魅了しました。皇帝ナポレオンの他には、スタンダール(小説家/仏)、ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(作家/伊)、
マリア・カラス(歌手/米)、エリザベス・テイラー(女優/米)、ヘンリー・フォード(実業家/米)、マレーネ・ディートリッヒ(女優/独)、
ルキノ・ヴィスコンティ(映画監督/伊)などがピネイダーを愛用し続けました。そうです、
日本では全く無名なこのブランドは実はとびきり一般人にとっては敷居が高かったのです。パスタより1組のレターセットの価格が高いって信じられます?
そのくらいにフィレンツェの熟練の職人が手間をかけてつくった上質がそこにはあったということです。ヨーロッパで上流階級がラブレターに使う紙がまさに
Pineiderであったと聞きます。日本では「無名で価格の高いイタリアの文具ブランドなんていったい誰が買うのだ」と普通はそう考えますよね。
敗戦国である日本・ドイツ・イタリアはそれぞれ独自の生産スタイルをとり選後を復興させました。日本は「安くて良いものを大量に」、
ドイツは「質実剛健に」、イタリアは「個性を付加して高額に」と。今となっては日本もヨーロッパと同様に消費者の激減していく社会ですので、
良いものを安くしては採算がとれません。丁寧に作って高く売るというスタイルを日本も参考にするべき時がきたと私は考えています。
このPineiderを扱ってみようと腹を決めました。そこここに無い上質なブランドとして育て上げ、オンリーワンの店づくりから地域振興を模索してみたいのです。